本記事は、全日本不動産協会大阪府本部が、2025年3月1日に開催した「教えます㊙セミナー 信頼できる不動産業者の見分け方 〜わるい不動産業者にだまされないために〜」のプログラムをテーマごとに書き起こしたものになります。一般消費者の方だけでなく、これから不動産業での独立開業を目指している方にも役立つ内容となっておりますので、是非ご覧ください。
セミナー開会の挨拶
今回のセミナーは、当協会に苦情が寄せられた事例をもとに「◯◯新喜劇」をイメージした分かりやすい不動産セミナーを皆様に聞いていただきたいと思います。一般消費者の皆様には、本日のセミナーを通して不動産の知識を持っていただくことで、トラブルを未然に防ぎ、安心、安全な取引をしていただきたいと考えております。
世の中には残念ながら、不動産知識の乏しい消費者に近づき、消費者を騙してお金を奪い取る悪い不動産業者がいます。本日のセミナーでは、実際の事例をもとに8つの例を挙げて、不動産の取引上の注意点をご説明させていただきます。難しいイメージのある不動産を、今回のセミナーを通して、コミカルな掛け合いでわかりやすく説明させていただきますので、このセミナーをお楽しみいただき、有意義な時間にしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
テーマ⑤:検査済証のない擁壁を、再建築時に使えるかのように説明した事によるトラブル
では、5番目のテーマ「検査済証のない擁壁を、再建築時に使えるかのように説明した事によるトラブル」に進みたいと思います。購入した物件に既存の立派な擁壁があり、特にクラックとか膨らみ等がある場合は必ず専門機関に調査・相談をしてくださいね、ということですが・・・よろしくお願いします。

客:こんにちは。
悪徳不動産業者:いらっしゃいませ!
客:御社がインターネットで掲載している物件なんですけど、「見晴らし最高!」って紹介してたけど、斜面に家が建ってるし、なんかえらい立派な擁壁の上に家が建ってるんやけど、何年後かにここで建替えるときに、この擁壁はこのまま使えるんですか?
悪徳不動産業者:お客さん、これだけしっかりした擁壁だったらそのまま使えるでしょう。まあまあ新しいですし、大丈夫ですよ!安心して下さい。
このお客様が購入後数年してから、建て替えをしようと建築確認申請をしたところ、既存の擁壁は使えないのでやり直しなさいと役所から言われ、相談に来たケースですが、仲介業者の調査不足ですよね。過去に不動産保証協会の取引相談で苦情が上がったときには、仲介業者が重要事項の説明不足を認めて損害賠償額を支払う事で合意解決したと言う事もありました。先生この場合はどうなるのでしょうか。
このテーマについて未来総合法律事務所 石那田弁護士の見解
まず前提知識として、2メートルを超える擁壁を造る場合は、建築基準法において、「工作物」としての確認申請の手続きが義務づけられています。本件でも2メートルを超える擁壁であったのならば、本来は検査済証があるはずです。しかしながら、実際には検査済証が発行されていない事案であると考えます。
買主としては、売主側から擁壁につき本来発行されていなければならない検査済証がないことや、建物を建て替える際に擁壁をやり直す必要がある可能性についての告知義務違反があるとして、契約不適合責任に基づいて、代金減額請求、契約の解除及び損害賠償請求の主張が可能となります。
ただし、そうなると擁壁をやり直せば、契約の目的が達成できないわけではないとも考えられるので、契約の解除まで認めるかどうかは事案によると考えられます。
したがって、さきほどの不動産保証協会の取引相談の事例としてご紹介のあった金銭的解決は妥当だと思います。
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