本記事は、全日本不動産協会大阪府本部が、2025年3月1日に開催した「教えます㊙セミナー 信頼できる不動産業者の見分け方 〜わるい不動産業者にだまされないために〜」のプログラムをテーマごとに書き起こしたものになります。一般消費者の方だけでなく、これから不動産業での独立開業を目指している方にも役立つ内容となっておりますので、是非ご覧ください。
セミナー開会の挨拶
今回のセミナーは、当協会に苦情が寄せられた事例をもとに「◯◯新喜劇」をイメージした分かりやすい不動産セミナーを皆様に聞いていただきたいと思います。一般消費者の皆様には、本日のセミナーを通して不動産の知識を持っていただくことで、トラブルを未然に防ぎ、安心、安全な取引をしていただきたいと考えております。
世の中には残念ながら、不動産知識の乏しい消費者に近づき、消費者を騙してお金を奪い取る悪い不動産業者がいます。本日のセミナーでは、実際の事例をもとに8つの例を挙げて、不動産の取引上の注意点をご説明させていただきます。難しいイメージのある不動産を、今回のセミナーを通して、コミカルな掛け合いでわかりやすく説明させていただきますので、このセミナーをお楽しみいただき、有意義な時間にしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
テーマ④:心理的瑕疵(建物内で自殺等)などの説明義務違反
それでは4つ目のテーマにいきましょう。4つ目は「心理的瑕疵(建物内で自殺等)などの説明義務違反」ということで、例えば、心理的瑕疵物件といっても色々ありまして、人が亡くなられていたり、近隣に嫌悪施設があったり、反社会的集団の事務所があるといったことも含まれます。こういったことの説明をせずに契約に至った場合どうなるのでしょうか。
客:こんにちは。この前案内してもらった物件なんですけど、今見てもやっぱり安いですよね。ぜひ購入したいんですが、今見に行ったら、前の家の玄関にたくさん防犯カメラがついてるんですが・・・何か問題でもあるんですか。とにかく購入したいんです。
悪徳不動産業者:いや、特にあの物件は何も問題ないですよ。最近、個人情報がうるさいので、あんまり近所も聞いて回れないじゃないですか。でも気に入ってはるんやったら契約しましょう。
はい、無事に契約が進みました。そして引っ越しが終わり、お客さんが挨拶回りに行ったところ、近所の方からこんなことを聞かされるんですね。
近所の人:あんた、この家の息子さん、風呂場で自殺したん知ってんの。残ったお母ちゃんもこたつで孤独死したんやけど、ほんまに知らんの。
客:えーーー!!!
近所の人:ほんで向かいの家は、ヤクザの親分の家やし。
客:えーーー!!!
近所の人:裏の工場は産業廃棄物の処分場やし、気の毒になあ(笑)
客:えーーー!!!(会場笑い)
聞きたくもない話を聞かされてしまいましたね(笑)石那田先生、このケースはどうしたらよろしいでしょうか。
このテーマについて未来総合法律事務所 石那田弁護士の見解
まず、瑕疵とは一般的な用語では「欠陥」を意味すると考えてください。そして、心理的瑕疵・心理的欠陥というのは、不動産が通常有する品質や設備自体に問題はないのですが、住む人に心理的な抵抗や嫌悪感を与えるような欠陥のことです。具体的には、本件のような自殺、一定期間放置された孤独死などを含みます。
環境的瑕疵とは、不動産の周辺環境に問題があり、生活に不快感や嫌悪感を与える可能性がある欠陥のことです。本件のように周辺の反社会的集団の事務所や産業廃棄物の処分場の存在は環境的瑕疵に含まれます。

そのような瑕疵について告知されなかった場合は、買主は売主に対して、契約の目的物が契約に適合しない、つまり瑕疵があるということで、民法の契約不適合責任に基づき、代金減額請求や、契約の解除及び損害賠償請求の主張が可能となります。
但し、これらの請求がどこまで認められるかどうかは、適正な売買代金額がいくらであるのかといった鑑定などが必要と考えられます。また、契約の解除まで認められるかどうかについても、そのような瑕疵の存在によって契約の目的が達成できないと評価できるかどうかということが問題となります。
ですから、今の事案であったら間違いなく契約は解除できると思います。また「それでもこの物件がいい」っていうんであれば、鑑定してもらって、代金の減額というところに関して請求できると思いますが、心理的瑕疵ついては、重要事項説明に書いてあることが重要ですので、書いてないのであれば、業者側がやっぱり意図的に隠していた、隠してなくても重大な過失があったんだろうという風にはされています。
ただ、契約不適合責任というのは、民法上、その瑕疵を知ってから1年以内に売主に通知しなければなりません。もし契約書に、引き渡しから2年以内に通知が必要という条項があれば、その条項に従うことになります。
契約書に、引き渡しから1年以内に通知と書いてあって、1年以内に通知すればその契約は無効になります。1年以外の記載、例えば2年・3年と書いてあったら、その規定された期間内に通知すればその契約は無効になります。この規定期間内に通知をしなければ、契約適合責任は追求できませんので、その点については十分注意してください。
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