全日大阪 広報メディア

不動産セミナー書き起こし

現役不動産会社社長から学ぶ不動産ビジネス|KSグループホールディングス 近藤良一代表

2025年3月26日

本稿は、公益社団法人全日本不動産協会 大阪府本部が、2024年10月27日に開催しました「第1回 不動産開業支援セミナー」の講演内容を書き起こし・編集したものです。当日ご参加できなかった方、これから不動産業界を目指す方、全日本不動産協会への入会をお考えの方のお役に立てれば幸いです。(オオサカ不動産開業ナビ 編集部)

不動産会社社長から学ぶ不動産業ビジネス

司会:それでは「不動産会社社長から学ぶ不動産業ビジネス」と題しまして、KSグループホールディングス株式会社 代表取締役 近藤良一様よりお話をいただきます。それでは、よろしくお願いいたします。

近藤さん:皆さん、こんにちは。私は全日(全日本不動産協会)の会員で、KSグループホールディングスの近藤良一と申します。 今日は、開業を目指していらっしゃる皆さんに、不動産業の先輩として、今の不動産状況はどういう風になっているか、今後どういう風に不動産業界が進んでいくのか、我々がやっている仕事が何なのかを少しご紹介させていただきたいなと思いまして、お話をさせていただきます。

お手元にパワーポイントの資料がございますので、この資料に基づいてお話をさせていただきます。 まず私の会社の紹介をさせていただきます。当社、KSグループホールディングスは持ち株会社として、不動産の開発・建設業をおこなう近藤建設工業、賃貸マンションの管理・不動産流通業を行う近藤プロパティ、分譲マンションの組合管理、施設メンテナンス業務を行うKSコミュニティという3社を経営しています。

私は1958年大阪で生まれ、今年で67歳。不動産業界で37年やらせていただいております。ちょっと経歴が変わっておりまして、私は元々大学を出て、広告代理店におりまして、それから義父が経営する会社に入りまして、その後、今の会社を引き継いで経営を行っています。

業界関係の仕事も色々してきました。全日本不動産協会 大阪府本部副本部長も務めさせていただき、関西住宅産業協会の代表理事副本部長を経て現相談役、大阪不動産コンサルティング協会の理事もしております。 それと、大阪府が運営する業界団体との公民一体組織の大阪の住まい活性化フォーラムの会長も務めさせていただいております。

不動産業にはどのような仕事があるのか

不動産業と言っても、私も全然違う業界から入って、はじめのころは不動産業と言われても何が何だか分かっていませんでした。不動産業と言っても色々ありますが、土地と建物を扱う事業の総称かなと思っております。 

まず思い浮かぶのは、不動産売買。これは、土地を仕入れて加工して、消費者に直接販売をおこなうことです。デベロッパーとも言いますが、大手では住友不動産であったり三井不動産であったりと色々ありますが、中小でもマンションや建売住宅をを建てて売ったりされているところもございます。

それと仲介・流通ですね。基本的には、開業されたばかりだと、不動産を自分で仕入れて事業するのはなかなか難しいので、これが一番多いと思います。売りたい人・買いたい人のマッチングを行う、賃貸マンションや店舗・ビル等を貸したい人・借りた人・テナントさん・入居者さんの斡旋をする。そういう仕事ですね。

それと、不動産の管理ですね。賃貸マンション、アパート・ビル・商業施設、色々ございますが、それを管理して管理料をもらう仕事。これは厳密に言ったら以前は宅建業の業務ではなかったのですが、事業規模200戸以上の管理を行う場合は賃貸管理業として登録する必要があり、賃貸不動産経営管理士という資格をこれから持っていないと、賃貸管理業として業務ができなくなるようになります。

分譲マンションなどの区分所有建物の管理についても平成13年よりマンション管理適正化法により、管理業務主任者の設置が義務付けされています。

それに伴いまして、関連の資格名称としては、設計、 建築施工という、建築家、建築士、デベロッパー、ゼネコン、住宅メーカー、工務店とか。こういうのを広義に言って、不動産業界かなと思います。これらは兼務されているところも多いです。工務店で不動産業を兼務するなど、 建設業だけじゃなくて宅建業を取得する方もおられますし、逆にいろんな他の業界から移られる方もおられます。 

流通、販売、賃貸業務等を宅建業法の宅建士という資格で仕事を行う方が大半です。ここにおられる方は宅建士の資格を取得されている方が多いと思います。宅建士の資格者は全国でも(保有されている方が)結構いらっしゃいます。国家資格で1番多い資格じゃないでしょうか。多分120万人くらい合格者がいらして、そこから実際登録して業をされているのは50万人ぐらいと言われております。ほぼ(日本人口の)100人に1人ぐらいは資格を持っています。大企業に勤めていて宅建の資格をもっている方も結構おられます。

あと分譲マンションの管理がございますよね。これは区分所有建物を持ってる入居者が管理組合を作られて、それの管理運営業務をする仕事です。これも管理業務主任者とか、そのマンション管理士という資格があって、これも結構難しくなってきています。賃貸マンション管理は賃貸経営管理士という資格ができまして、これも今まででしたら宅建業者が管理していましたけども、これからは結構まただんだん厳しくなり、この資格を持ってる人でないとできないという風に今後なってくる可能性があります。 

それに関連する業者としては、登記・測量・鑑定士があります。こういう方たちと一緒に仕事をしていくのが不動産業全般かなという風に思っております。

日本の不動産市場の状況

今、不動産価格がすごく上がっております。上がっておりますけれども、私がちょうど1987年にこの業界に入りまして、その時の公示価格(国土交通省が1月1日時点の時価を3月にまとめて発表される数字)バブルと言われる1990年の表を見ていただいたらお分かりになると思いますが、三大都市圏はとんでもないことになっています。地方圏も同様です。

ちなみに、2024年の状況についてですが、1975年の万博が終わった後、約50年前と比較すると、 三大都市圏では約3割、地方圏では約2割の変化があります。右のグラフの商業地に関しては、 地方圏では全然変わってないですね。だから、まだまだ昔のバブルの頃と比べて全然違いますが、ただ場所によっては(三大都市圏などは)1990年頃の価格を超えているところもございます。

次のページを見ていただくと、これは外国人の富裕層が海外に出られて、海外不動産を購入しているデータですが、特に中国人が非常に多くの不動産を買っている。日本においても中国人が不動産の2割ぐらいを買っています。その中で、中国人の不動産購入対象国として、日本は世界で買う内の7番目ということになっています。オーストラリアはなんかもっとすごいことになっています。オーストラリア、カナダ、イギリスの順になっています。先ほどお示しした公示価格がちょっと上がってきているのは、こういう背景がございます。

次に、日本はこれからどうなるのかと。不動産全体の見通しは、人口が減って、なおかつ日本は新築の規制がされないので、どんどん住宅が建てられています。最近でも毎年70万戸ぐらい新築が建てられて、人口は毎年50万人程減少していますので、空き家の増加が止まらないということです。左側の図は、野村総研が出しているデータですが、2030年には空き家率が30%になると予測しています。空き家が増加し続けることにより、当然住宅価格が上がることは望めないということです。

日本の不動産はこれからはどんどん2極化をしていきます。上がる場所は都心の大規模な新築のオフィスやマンションで、下がるのは当然地方や郊外の物件です。外国人のインバウンド需要が呼び込めないところは、価格上昇は見込めないと言われております。 ただ、現在は結構マンション価格が上昇していますので投資される方も多くいますがこれからは マンションの新築規制をかけない限りはどんどん入居者が減少し、空き物件が増えて、将来投資用マンションも、ロケーションによって下落するような状況です。

これを見ていただければ分かる通り、少し古いデータですが日本の空き家率は2018年13.6%、この前発表された調査では15%弱ぐらいが空き家になっています。なおかつ中古住宅の流通シェアは海外に比べて日本は非常に小さいので、流通量は今後かなり増えそうです。

ですから、仲介斡旋の仕事がこれから増えるのは間違いありません。 不動産を持って困っている方が売りたい、買いたい方には海外の方もおられますから、そういう取引がこれから増えるので、仲介・流通専業なんかは面白い仕事になるかなという風に考えております。

問題だらけの日本の不動産

私が以前、5、6年前のコロナ禍の頃に『問題だらけの日本の不動産』という本を出版社の方から書いてみたらと言われて、執筆し出版しました。思いのほか好評で、 今はもう本屋では売られていないのですが、Amazonではまだ買えると思います。私は、海外(米国)で不動産業を初めて経験し、その後日本の不動産業界に入りましたので、日本の不動産業と米国の不動産業の違いを感じており、その内容を本にまとめて書かせていただきました。

何が問題だらけかと申しますと、まずは皆さん、ご承知の平成30年頃に所有者不明土地問題がマスコミに大きく取り上げられました。日本国土の約20%(九州ぐらい)の土地所有者がわからないということで、非常に問題視されました。その後やっと相続登記の義務化と国庫土地帰属法という法律ができ、少しは改善すると思われます。米国では住宅地の約98%以上の土地面積が確定しており、海外と比べてとても曖昧で解決には時間がかかると思われます。

不動産登記についても、不動産売買や建物を新築した際には、登記する事が当然だと思いますが、日本の不動産登記法では、建物の表題登記という、建物新築した時には、義務化となっていますが、これも罰則は過料ということで、あまり大した罰則では無いので、大手の銀行、生保等の金融機関等や銀行融資を受けない購入者は、登記をしない人が多く存在します。それが、やっと改善し始めています。

相続登記については、地価の高いところの相続人は、手続きをされますが、郊外や田舎の家については、購入者が少なく、売買ができない物件が多く、多くの相続人は相続放棄の手続きを希望されますが、放棄できないという状態が続いています。今は国庫帰属法ができたのですが、帰属条件が厳しく、希望者が少ないのが問題ですが、徐々に条件が改善され動き出すのかなと思います。 

次に、日本の不動産登記制度は、所有権を登記して高い登録免許は取りますが、第三者に対しての対抗要件はありますが、公信力は保証していません。ですから「地面師」というような、Netflixで映画になり、見られた方もおられると思いますけど、他人の不動産売買をするということが起こっています。

アメリカでは、MLS(マルチブル・リスティング・サービス)と第三者を入れたエスクロー制度と権限保険制度による取引が発達していますので、安全な不動産取引が行われています。一方、日本は、登記制度による所有権限の保証制度(公信力)がなく、非常にいい加減でございまして、国は保証してくれません。登録免許税は取りますけれども、登記して登記簿に名前を書いてもらっても、 違う人が出てきたら「それは民間で解決してください」ということですので、地面師事件のような問題がおこります。

次に「でたらめすぎる公図」ということで、自分の家の謄本をとられて公図見られたら(分かると思いますが)隣の家がどこにあってなにがどうなってるのか何にもわからない、でたらめの漫画みたいな絵が書かれています。これが日本の不動産の大きな問題です。 

日本の地籍調査の完了率が現在52%しか終わってないということでございまして、これもびっくりする話ですが、大阪は特にワースト2で10%、京都が8%でワースト1という順位です。地籍確定(検地)できていないのです。 登記簿でも公簿と実測というものがありまして、実測は測量地を確定して登記しますので、位置、面積、座標がGPSで示されて、土地の官民境界が確定されています。地籍が確定されているのが、日本全体で52%、大阪は10%です。この問題は全日本不動産協会大阪府本部でも「重要問題として」日政連と協力して、問題解決に取組んでおります。

固定資産税は、公簿でも実測でも登記された面積で課税される為、実測する事に応じたくないという地権者が多く、実際に実測にしたら約8%程度の地籍が増えるという結果が出ています。少しでも税金を安くしたいために、地籍の確定を京都・大阪のように歴史のある街なんかは特に進んでいない事が多いですね。

アメリカは中古住宅の取引は33倍ってことだから、アメリカとかヨーロッパは流通がさかんです。 新築はなかなか建てることが難しく、特に都市景観が厳しいヨーロッパは難しいです。ドイツの都心部では中途住宅を購入しなければ新築は建てられません。 やはり人口密度規制とか都市計画がしっかりしてますので、日本みたいに、土地の開発造成の規制が少なく、住宅建設や土地に対する建築物の容積率の緩和が欧米に比べ容易な為、人口減少が進む日本では、空き家だらけになることは自然の流れです。それが今現在、日本で起こっていることです。 

海外は大事に100年ぐらい住むということで、日本の住宅も平均寿命は32年、アメリカは66年、イギリス80年とこういう風になっております。奈良や京都に行ったら100年前の家でも住まわれている住宅がありますけど(基本的に)日本は新築を好む傾向がありまして、古い家はほとんど空き家になるということですね。

このことは国の制度にも問題があり、法定耐用年数という財務省が決めた建物の耐用年数で、木造は22年、鉄骨で34年、RC42年と決められています。この年数は、法人や投資用の不動産を所有するときに、建物の減価償却費を算定し税額控除をする制度で、個人の住宅はについては建物の減価償却は、税申告に関係はありませんが、個人が中古住宅の購入時に借り入れをする際には、金融機関はどうしても家の価値を、実際の建物寿命ではなく、法定耐用年数を使って評価するために、どんないい建築物でも建物価値は評価されず、住宅の値打ちが無くなるという問題があります。日本の不動産はどんどん安くなっています。

海外の不動産は、都市計画と建物評価が適切に行われ、土地と建物が一体評価され、リフォームやメンテナンスの行き届いた物件は、価値が下がらず上昇し、非常に高い評価を受けるのは、そういう理由です。

そして、日本の不動産が安すぎるということで、外国人に買っていただくのはね、ありがたいのですが、とにかく日本はいろんな問題がございます。戦後、大都市部では、大変な住宅不足を解消するため、どんどん住宅を建てる政策が、昭和43年には住宅の総世帯数を上回ったにも拘らず、ブレーキかけられないという状態で、規制もせずに、高度成長期を迎えそれでもまだどんどん建てたというのが、現在の空き家問題の原因です。

今後の不動産業界、女性の参画

不動産っていうのはやっぱり景観が重要で、眺めがいいとか海の見えるとこがいいとかで、不動産の価値が決まります。ですが、日本はいろんな規制がございまして、付加価値がつけにくいので価値が出ないものが多くあります。香港のすごい絶景の眺めのマンションは恐ろしく値段が高いです。でも日本はあまりそういうのは建築基準法や都市計画法で規制されて、景観がよいところとか海辺・浜辺の近くとかは建物が建てられないことがよくあります。

最近のマンションは完全に実需から投資になってきています。大阪でも梅田のグランフロント、グラングリーンとか坪1000万超えた物件が、即日完売した。そういう事例が出ていますが、日本も徐々に中古マンションの売買が新築マンションの供給よりも逆転して、流通も増えつつあります。

これらの一番の問題は、やっぱり都市計画とか規制をどうするかとか、日本の政治家や官僚が不動産業の現場の声を見聞きし、東京一極集中を緩和し道州制を取り入れ、地方分権を実現して、地方創生が実現する必要があると思います。大手企業や外国からのロビー活動をされたままでは、国民目線の物事が決められません。日本の不動産もこのままいったら本当に値段が上がらなくて、外国人の方に買い続けられるということが起こる可能性があります。

大都市の郊外でも、ニュータウン開発で建設された団地が、空き家になってものすごい問題になっております。少子高齢化の人材不足によりマンションの管理会社も見つからない問題も起こり始めています。新築や都市開発で新しい建物を建築したものも、いずれ古くなり空家、空きビルになっていきます。古くなった建物は再生し循環型でやっていく必要があると思います。

私どもは、最近は再生事業に力を入れています。古い家を再生してホスピスにしたり、中古マンションを再生したり、もっと古い民家を再生してレストランや宿泊施設にしたりしていまして、こういうビジネスがこれから伸びます。

これは明治初期の「ちりめん街道」という重要的建物保存地域で、築150年を超える古民家を再生してサウナ付きゲストハウスにコンバージョン(用途変更)を行っています。

今後新たに開業された方にとっては、新築よりも古い物件を再生してやっていってもらうのもいいのかなと思っています。中古物件なので安いですから、それを動かす、こういう仕事がこれから増えるのかなと思います。

今日(会場を)見渡したら女性が非常に多いなと思っています。全米リアルター協会、アメリカの不動産協会は女性会員が多いのです。住宅とか不動産の仕事はやはり女性がすごく相性がいいと思います。やっぱり家での暮らしとか家族を守るという視点をしっかり持っている。だから今後、日本でも、全日本不動産協会でも、徐々に将来は50%は女性会員になっていくのかなと思います。現在は、女性の会員さんの割合は2割か3割ぐらいです。

今日は日本もこれから面白くなりそうだなというのを感じまして、簡単ではございますが、これにて私の講演とさせていただきます。頑張って不動産業界にみなさん入っていただき、チャレンジしていただければと思いますので、よろしくどうぞお願いしたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

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