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私の不動産独立ストーリー

子どもの重度アレルギーから古民家を通じた過疎地の再生へ|松岡 照代さん

2023年7月31日

全日本不動産協会 大阪府本部 北大阪支部
照乃ゐゑ 代表
松岡 照代さん

子どものアレルギーで自然派志向に一変

大学時代は心理学を専攻していました。大学卒業後は心理学を生かして空間をプロデュースしたく、空間プロデューサーに弟子入りし、その後は建設会社の設計部で働いていました。夫は公共建築などを設計する設計事務所に勤めていて、結婚後に二人で独立して、私も夫と建築士として働いてきました。

元々キャリアウーマン志向であったわけですが、2016年くらいから大阪の能勢、いわゆる過疎地でコミュニティーハウスを運営しております。そのキッカケは子どもが重度のアレルギーを持って生まれてきたことで、そこから色々な経緯があって今があります。もし子どもがアレルギーじゃなかったら夫とどんどんキャリアを積み上げるというところに向かって行ったかもしれません。

子どものアレルギーはかなり重度で、卵を茹でた洗浄済みのフライパンでカリフラワーを蒸し茹でしたらアナフィラキシーショックが出るレベルでした。当時生後8ヶ月だったんですけども、検査したら卵アレルギーの数値が振り切れていて測れないと。そこから外食するのも大変で、かなりの制限がかかり、私自身も疲れてしまって本当に苦労したんです。

設計の仕事ができないくらいの相談を受ける

そんな経験があるので、設計の仕事をしていて、お子さんがアレルギーをお持ちのお客様や心が病んでいるお客様がきたら私の経験をもとにアドバイスをしていたんです。そうすると、相談やアドバイスを求める方がどんどんお越しになるようになり、設計の仕事に支障がでて、生活がままならないレベルになりまして(笑)

もういっそカウンセラーに仕事を変えようかと思ったんですけども、大学に戻ると研究系になってしまうんですね。それはなにか違うなと。そんなある日、氣付いたことがありました。それは、相談にくる方は一定のループに入っているということ。私のところに相談や話をしに来て元氣になる。でも家に帰ってしばらく生活を送るとメンタルが元の状態に戻って、またお越しになる。このループになっているんです。

同時期に「おにぎりとお味噌汁で心を癒す」という内容で活動されている佐藤初女さんという方の講演会を聞きに行ったら「待つことが大切」「誰か一人でも無条件に愛してくれる人が居たら、人は生きていける」というお話されていて、本当にそうだなと思ったんですね。また、自分が畑をして心身ともに癒された経験とも繋がり、古民家と田畑があって、人が自分の本質に氣が付きやすい、待つ環境を作ることが大切だと思いました。そこから古民家と田畑が欲しいなーと思い始めたんです。

古民家再生を通じ過疎地の状態に氣付く

古民家と田畑を探し始めた頃に、父と母が続けて亡くなったんです。それで遺産相続の話を郵便局の担当者にしていた時に「古民家と田畑があったら買いたい」と伝えたら、その担当者の方から「僕の実家買ってくれませんか」と言われたんです。それが今、運営しているコミュニティハウスですね。買った当時はゴミ屋敷でしたけど、綺麗にし、リフォームをして、いわゆる古民家再生をしました。

このコミュニティハウスがある地域は本当に過疎化していまして、各家庭のお子さんは域外に出ていて、後を継ぐ感じでないものばかり。実際に空き家もありますけど、私自身も田舎育ちだからか、簡単に売るというのは、難しいという事情がよくわかります。住んでいる方も年齢が70代に乗ってきている状況です。

幸い運営しているコミュニティハウスは安心・安全にコミュニティとして動いていて、地域の方から見守られて、問題なく運営できています。その経験と、ここに集う人たちの要望もあり、不動産業をはじめました。ただ家を売る、家を買うというだけでなく、古民家再生にしても、空き家よし、土地よし、売主よし(貸主よし)、買主よし(借主よし)、子どもよし、高齢者よし、地域よし、田畑よしみたいな、みんなの笑顔がひろがることができたらいいなーと。

過疎地を古民家再生を通じて変えていきたい

田舎は土地も余っているし、空き家もあるし、土地もあって、安い。でも誰も引き取り手がいなくて困っている。一方で都会は土地も高いし、場所も少ないし、建築もいかに狭いスペースでどれだけ住めるかという状態。それはちょっと変だなと思っているんです。

この世は循環とバランスが大切と私は思っていて、現代は循環が滞り、バランスが偏っていることで色んな問題が起きている氣がしています。だから、不動産業者・建築士として過疎地と都会のバランスが整って、古民家がただ単にゴミとして終わっていくのではなくて、人々が循環し出すような流れができたらいいなと思っているんです。

古民家は子育てに有効だとも思っています。都会の住宅って外が暑かったら中はモワッとしていますよね。大地も近くにありません。でも古民家なら空気も何も循環しているので夏も、エアコンがなくても過ごすことが可能です。でも現代でそういった家をゼロから建てるのは建築基準法上、難しいと思っているんです。なぜなら気密や構造など現代の状況に対応しないといけないからですね。

だからそういったことを伝え続けて、自然が好き、古民家が好きな人に渡せるようなお役目ができたら幸せと思っています。その結果、過疎地が抱える交通問題や少子化問題、高齢化問題、不耕作地問題などについても解決できるような流れに持っていけたらと。色々言いましたけど、私としてはこういったことを通じて、目の前に来た人が幸せに、その家族が幸せに、そして、その子どもも幸せになる動きができたら、うれしいなと思っています。

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